腰痛がひどいと相談すると「日本人はせんべい布団で寝るのが一番だよ」と教えてくれる人がいます。
ただ、その根拠を聞いても、多くの場合いまいちな回答しかもらえません。
「本当にせんべい布団がいいの?」
半信半疑でなかなか試すことができずにいる人も多いのではないでしょうか。
硬い床で寝ると腰痛が楽になるのか。
それともただの迷信なのでしょうか。
ここではそんな腰痛とせんべい布団の関係について紹介します。
Contents
せんべい布団は腰痛に効果的になることもある
とても歯切れの悪い説明になりますが、せんべい布団は腰痛に効果的になることもあります。
ということは、腰痛に効果がないこともあるということもあるわけです。
実はせんべい布団は段階式。少しずつ硬さが変わっていく
まず、せんべい布団と呼ばれる状態にもいくつかの段階があります。
敷布団は、購入時にはある程度の柔軟性がありますよね。
しかし毎日使っていると、徐々に体重によって厚みがなくなっていきます。
最終的には、ほとんど沈み込みのない布団になります。
この過程で、腰痛に最適な硬さになることがあります。
これは適度な沈み込みが期待できる状態で、腰痛の方でも非常に眠りやすい一時的な期間です。
せんべい布団をどこに敷くのかによっても効果が変わることがある
また、せんべい布団をどこに敷くかでも改善効果は変わってきます。
- フローリングの上にせんべい布団を敷く場合
- 畳の上にせんべい布団を敷く場合
上記2つでは、実際に寝たときに感じる硬さがまったく違ったものになります。
一般的には、多少の沈み込みを期待できる畳の方が腰痛には効果があると言われています。
せんべい布団は腰痛対策に利用しづらい
せんべい布団を腰痛対策に使いづらいのは、「最適な期間」が限られているため。
ある時点で腰痛に効果的だとしても、そこから半年もすると硬すぎる布団になってしまうこともあります。
沈み込みをまったく期待できなくなった布団は、「床で寝るよりはマシ」という程度のものでしかなくなります。
さらに言えば、腰痛は長いスパンで根本的な改善を促すもの。
一時的でしかないせんべい布団の限定的な効果では、改善も一時的となってしまうでしょう。
せんべい布団はどこに行っても購入することはできない
せんべい布団のもうひとつの問題は、せんべい布団を購入することができないということにあります。
腰痛対策に最適な環境を作れたとしても、肝心のせんべい布団がなければ眠ることはできません。
せんべい布団は売っているものではなく、使い続けた結果生まれるもの。
つまり、欲しくても手に入れることができない布団なのです。
いくらせんべい布団が腰痛対策に効果があるとはいえ、手に入らないのではおすすめはできません。
硬い床に寝ると腰痛によくない理由
布団や床が硬い場所で寝る場合、腰が丸まったりしないため、一見腰に良さそうに思えます。
ところが実際は、床に触れている背中やお尻の筋肉に、直接負荷がかかってしまいます。
筋肉は痛みを感じると、血の流れが悪くなり、その周辺へも痛みを拡散していくようにできています。
お尻と背中の緊張は腰部にも伝わり、体の背面の筋肉が緊張した状態で眠ることになるのです。
床に寝ている=体が反った状態になったままで寝ている
簡単にいえば、硬い床で眠るというのは反り腰で寝ているようなものです。
寝ても寝ても疲労は溜まっていき、腰痛が悪化することになります。
もうそれだけで、すでに快適な眠りは期待できそうにないですよね。
寝返りをうつだけでも負荷がかかる
しかも床が硬いと寝返りするのも負荷が伴います。
一度寝返るたびに、布団と接触している場所だけが集中して痛むことになるのです。
腰が丸くなりすぎている人の場合は、硬い床がちょうどいいというケースもあります。
そのため、絶対にダメだとは言い切れません。
しかし、すでに腰の状態がとてもよくない状態だと考えられます。
一時的に痛みを止めるために硬い床で眠ることは問題ありませんが、それが続くようだと問題です。
あまりよくない状態だと認識して、改善に向けて取り組んでいきましょう。
せんべい布団を腰痛対策に使うコツ
硬い床ではなかなか安眠はできない。
とはいえ、家にあるのはせんべい布団だけ。
新しい布団を買いたいけど高くて躊躇している人もいるかと思います。
その場合は、せんべい布団を上手に活用することで腰痛対策を行うこともできます。
腰の部分にタオルを詰める・もしくは巻くだけでOK
するべきことはそれほど難しくなく、仰向けに寝たときに、腰と布団の間にできた空間にタオルを詰めてあげます。
もしくはお腹周りにタオルを巻いて眠りましょう。
こうすることで擬似的な体圧分散ができる状態を作り出します。
またせんべい布団でも畳と組み合わせることで、やや柔軟性のある環境を作れます。
最終的にはマットレス購入がオススメ
できれば、モットンや雲のやすらぎのような高反発マットレスを購入することをオススメします。
すぐに購入できない人は、ぜひタオルを使った擬似的な体圧分散環境を作るようにしてください。
またせんべい布団は体を冷やしやすい布団です。
冬場などは1枚厚手のシーツをせんべい布団の上に敷いておくようにしてください。
腰痛には冷えは禁物です。
できるだけ温かい環境を手に入れるために、ちょっとした工夫を加えるようにしてみましょう。
せんべい布団と低反発マットレスならどっちがいいの?
- 「低反発マットレスを使うくらいならせんべい布団がマシ」
- 「体圧分散に優れているなら低反発マットレスが効果的」
ネット上の口コミでは、意見は二つに割れています。
一般的に腰痛の方に高反発マットレスがオススメされるのは、体圧分散に優れている商品が多いからです。
「低反発マットレスでも体圧分散に優れ、体に程よくフィットするものならいいのでは?」
そう疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
では、使い古したせんべい布団と低反発マットレスならどちらのほうがよいのでしょうか。
それぞれ注意するべきチェックポイントを上げてみました。
せんべい布団で寝ている人がチェックすべきポイント
- 寝転がると、背中に直に床の感触を感じてしまう
- 寝返りが打ちづらく、痛みを感じることがある
- 腰や下半身に負荷が集中していると感じることがある
- 寝ている間や、朝起きた時に体が攣ったり、しびれることがある
せんべい布団を使用する場合、最も注意するべきなのは起床時にしびれがないかどうかです。
- 体が反っていないかどうか
- ブリッジしているような姿勢になっていないか
また寝転がった時には、この2つをよく確認しましょう。
これらの症状は場合によっては神経損傷を招いたり、腰痛をさらに悪化させる原因となります。
低反発マットレスで寝ている人がチェックすべきポイント
- 体が沈み込みすぎて、寝姿勢がくの字型になってしまっている
- 動きづらく、寝返りが打ちにくい
- 腰回り一点に体重が集中している
注意するべきは「寝返りが打てないほど体が沈み込んでいないかどうか」です。
低反発マットレスは腰回りばかりに体重がかかって体がくの字型になりやすいです。
こうなると、やはり腰一点に負荷がかかることになります。
フローリングに直に低反発マットレスを敷いている場合には、せんべい布団でも感じるような底付き感を覚えることもあるでしょう。
→フローリングにマットレスを直に敷くコツ。洋室だけの一人暮らしにも
結論:せんべい布団と低反発マットレスなら、低反発マットレスのほうがよい
腰痛改善にはせんべい布団、という俗説は今でも広く周知されています。
しかしそれは誤った認識です。
特に体が反り、頭と腰でブリッジしているような寝姿勢は危険です。
手足のしびれや攣り感が残るようであっても、早急に買い替えを検討したほうがよいでしょう。
こういった症状がある場合、モットンなどの高反発マットレスがオススメです。
また低反発マットレスは腰痛に悪い、とは一概には言えません。
しかし、こうした腰痛悪化の原因となっていることも事実です。
どうしても低反発マットレスにしたい、という場合は、自分の体重や現在の寝姿勢などを考えましょう。
また、ショールームなどで事前に寝て試してみることが重要です。
まとめ:せんべい布団での腰痛対策は考えない
せんべい布団というのは、使い込んで自分の体になじんで初めてできるものです。
すぐにせんべい布団を用意して腰痛改善につなげよう、という考えは現実的ではありません。
さらに、薄さや寝心地などひとそれぞれ合う合わないがあります。
また、薄い布団で寝ることで腰痛が悪化することもあります。
せんべい布団でできることはあくまでも一時しのぎです。
どこかのタイミングで、腰痛に良いとされるマットレスに変えるようにしてください。
自分の健康を守るために、腰痛対策はしっかりお金をかけておこないましょう。